なぜ私たちは国産にこだわるのか? 〜国産である事の意味〜

フライング・オーストリッチ株式会社
社長 小久保 謙

 農産物(食料)が日本の国内で生産される事の大切さは、自動車や電化製品が国産である事とはまったく違う意味を持っています。
 多くの産業の中で「無」から「有」を生み出し絶える事のない循環を生み出す唯一の産業が農業です。太陽と水と土から生み出される農産物は、地球資源を使い捨てにして成り立つ他の産業とは異なる価値観のもとでその意味を考える必要があります。日本という国土を基準にして考えると、出来上がった農産物を海外からの輸入するという事は、日本国内の生命の循環を断ち切ると言う事になります。つまり本来その大地の持つ栄養を利用して生産された農畜産物がその周辺の人々に利用され、糞尿やその外の有機物として、また大地に還元される。それが太陽と水と時間によりまた農畜産物を生産する資源として復活する。こうした循環が人の生命を支え、同じように大地という生命をも支えてゆくのです。現在食糧自給率が40%を下回る状況で、日本が海外から輸入する農産物を生産するのに必要な海外の作付け面積は、農林水産省の試算では1200万ヘクタール、なんと日本の農地面積の2.4倍にも成っています。とても日本国内での循環を可能にする量を遥かに上回っています。一方で日本国内の自然の循環を壊し、一方で輸入相手国の農地からの収奪によりその地の循環をも壊してしまう。国内の作付け面積が不足しているのならまだしも、耕作放棄地を一方で作りながらの農産物輸入を続ける現代の消費は、「未来の先食い」ともいうべき状況と考えられる。こうした事を踏まえ国産である事の意義のひとつは「安全性」です。
 ・日本の気候風土に合った作物を消費する事の大切さと安全性・・・・・・健康
 ・顔が見える事の安全性・・・・・・生活
 ・自然の循環を維持出来る事の安全性・・・・・・環境

 ・・・なぜ 私たちは国産にこだわるのか。
 牛、豚、鶏に続く第四の家畜として、過去数々の食肉が登場しましたが、国内の畜産業として、広く認知されるまでには到っていないのが現状です。
 海外で生産されたものが、安価で手に入るこの時代に、なぜ私たちは敢えて国内産オーストリッチにこだわり、活動しているのでしょうか。
 それはオーストリッチが持つ高い能力が、今日本の抱えるそして将来に向けて解決しなければならない問題を解き明かしてくれると考えているからです。

 オーストリッチの持つ高い能力と国産農産物である事の意味

1 次世代の人達に少しでも良い環境を引き継いで行きたい。

 高齢化、減反政策が続く中、遊休農地や耕作放棄地が増えています。これを有効に利用することで、荒地化を防ぎ、生産意欲を高めることで地域の活性を促し、次世代へ手渡したい。又 国土に、広くは地球環境に負荷をかけないものであることも重要な要素です。
 オーストリッチが持つ高い植物繊維の消化能力は、人も含めて他の動物が有効に利用できない資源を利用し、いわゆる食物連鎖を壊さずに人類と地球に貢献します。
 具体的に例を示すと、養蚕業の衰退とともに放棄されている桑畑はオーストリッチにとっては最高の飼料畑です。日本の風土に根差した桑の有効利用は中山間地の利用とともに環境にやさしい農業といえます。
 野菜畑からでる屑野菜、農産物加工場から排出される加工残さ、食品加工場から出る加工残さ、もちろん牧草や野草の一部とその利用範囲は広い。
またこうした飼料を摂取した後の糞は高い消化率とあいまって土壌負荷の大変小さい排出量と質です。こうした畜産動物の存在は循環型の農業を目指す日本にとって必要な事です。

2 食料自給率の問題

 日本の食料自給率は年々低下を続け、カロリーベースで40%を下回りました。
 先進国と言われる国の中でこのように食料自給率の低い国は他にありません。諸外国では国を挙げて自給率の向上に取り組んでいます。
 国内産として流通している食肉も、その餌の90%以上は海外から輸入されています。少しでも自給率の向上に寄与できればと考えます。
 上記で示した植物飼料の高い利用率は他の畜産動物には見られない特徴で、食肉と言う近代の食生活に欠かせない素材を海外の飼料に依存せずに生産できる事は、食糧供給の自立性と間接的には海外の食料不足地域への貢献にもつながります。

3 食肉の安全性の確保

 生産現場から流通、消費までの過程を見渡すことができることも重要な点です。 フライング・オーストリッチが提供する製品はすべて日本オーストリッチ事業協同組合(JOIN)の組合員が生産したものです。JOINでは生産現場からと畜場で精肉としてパッケージされるまでを追跡しデータ化しています。
 生命を維持するために必要な食料の供給は安全である事は最低条件です。
 こうした事を実現するための強い倫理観と科学的な手法による安全の担保は生産から消費にいたる全ての行程が国内で行われる事は必要不可欠な事です。

4 経済の国内循環

 オーストリッチに限らず農業生産の国内化は健全な国内経済の循環を意味します。
 原料を輸入し高い生産技術で付加価値の高い製品を生産、それで外貨を獲得する。それを原資としての農産物輸入は国内経済を歪め、海外の生産基盤や生活資源を奪う事にもなります。1次産業は自立した意識と経済機構のもとで行われる必要があると考えます。
 いまや食品を食べるのではなく、単なる物を消費しているかのような食生活は一方で大切な人の感性を鈍らせ、一方で大量の廃棄を生み出しています。こうした現代の消費文化を健全な姿に蘇らせるためにも国産農産物の生産と消費と言う循環は未来の生活を支えてゆくのに欠くべからざる要素だと思います。